狼と香辛料

クラフト・ロレンスは馬車を駆り、様々な地を巡る行商人です。ある日、彼はパスロエ村を出発する際、自分の荷車の中で麦束に隠れて眠る一人の少女を発見します。この少女は狼の耳と尻尾を持ち、自らを豊穣の神「ホロ」と名乗ります。

「わっちはかつて神と呼ばれていたんじゃ。わっちゃあホロ以外の何者でもない」と彼女は言います。

ロレンスはホロの巧みな話術に振り回されながらも、彼女が本当に豊穣の神であるかどうか疑いつつ、彼女の北の故郷へ帰りたいという願いに心を動かされ、共に旅をすることを決意します。

二人の旅の途中で、彼らに利益をもたらすかもしれない情報が持ち込まれます。ある国の銀貨の価値が近い将来上がるというのです。この情報の真偽を確かめるため、ロレンスはその話に乗り、やがて彼らは大きな事件に巻き込まれていくことになります。