2024年8月17日 (現行バージョン)

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牡丹(ぼたん)
牡丹 Botan
雫によると、隣国で噂されていた「山に出没し、人を食べる巨大な牛鬼」が現れた。その牛鬼は、並外れた体躯と4本の牙、6つの突起のある顔を持つ南北朝時代の怪物である。時行たちが狩猟に出かけた際に突然遭遇し、まだ「逃若党」と名乗る前の彼らにとって命がけの戦いとなった。 弧次郎と亜也子が放った矢は牛鬼に刺さったものの、致命傷にはならなかった。しかし、雫の発案で地の利を活かし、時行、弧次郎、亜也子それぞれの能力を駆使した策を用いることで、牛鬼を黒曜石の岩塊を削って作った「神様の刃」へと誘導し、最終的に倒すことに成功した。 雫の見立てでは、この牛鬼は太古の獣の生き残りであり、家族を持たない孤独な存在だった。もし孤独でなければ、人を食べるような魔道に堕ちることはなかっただろうという。牛鬼はその後、解体されて一行の食糧となるはずだったが、頼重がその未来を予見し、完全に食べ尽くしてしまった。

(編集者: A A)