トルフィン

物語の主人公は、トルフィン・トールズスソンという名のアイスランド出身の青年です。彼は後に「侠気のトルフィン（トルフィン・カルルセヴニ）」と呼ばれるようになります。彼の誕生日は2月3日です。

トルフィンは、ヴァイキング集団の首領であるアシェラッドによって父親を殺され、その復讐を果たすためにアシェラッドの兵団で少年時代を過ごします。彼は金髪で茶色の瞳を持ち、髪は長くボサボサで、服装には無頓着です。彼の武器は2本の短剣で、そのうち1本は父親の形見です。戦場で育ったため、彼は無愛想で無口でしたが、クヌートの護衛を任されるようになってからは、少しずつ口数が増えていきました。兵団にいた頃、彼の心の支えはアシェラッドとの決闘の権利と、幼少期にレイフから聞いたヴィンランドの話だけでした。

トルフィンは小柄ながらも非常に敏捷でタフです。腕力も強く、一度はトルケルを追い詰めたこともありますが、短気な性格が災いして劣勢に陥ることも多々ありました。特にアシェラッドにはその癖や思考パターンを完全に読まれており、全く太刀打ちできませんでした。

アシェラッドが殺された際、トルフィンはショックで一時的に正気を失い、クヌートに斬りかかったため奴隷身分に落とされ、ケティル農場に引き取られます。復讐の目的を見失い、無気力に生きていた彼は、エイナルとの出会いをきっかけに農業に取り組む生活の中で心の安定を取り戻します。しかし、殺し合い以外何も知らなかった自分の半生に苦しめられ、毎晩悪夢にうなされていました。

人生について考えを巡らせる中で、トルフィンは暴力を避けるようになりますが、奉公人に開墾した農地を荒らされた際には怒りに任せて奉公人を殴り倒してしまいます。その後、悪夢の中でアシェラッドと再会し、彼との会話を通じて、自分が殺し合いの連鎖の中で生きてきたこと、そしてまだそこから抜け出せていないことを悟ります。以降、彼は暴力との完全な決別を誓い、多くの人を殺したことへの後悔を背負いながら「本当の戦士」になることを目指します。そのために、彼はヴィンランドを目指し、そこに虐げられた人々を集めて「戦争も奴隷もない平和な国」を作ることを決意します。