佐伯 直（さえき なお）

異母兄弟でありライバルでもある彼は、1年生で1stヴァイオリンを担当している。彼の誕生日は2月6日で、12歳までドイツで生活していた帰国子女だ。日本語の読み書きに苦労しており、中学時代はクラスで孤立していた経験もある。高校では青野が漢字の読み書きを手伝ってくれることもある。勉強や運動が得意ではない点も青野と共通している。

4歳の時からヴァイオリンを始め、日本に帰国してからはすぐにコンクールで優秀な成績を収めた。推薦入試で海幕高校に進学し、オーケストラ部に入部。入部テストでは青野とアンサンブルで競演し、以降は同じ第1ヴァイオリンのパートで技術を競い合っている。

彼の実母はソプラノ歌手で、青野の父との交際がマスコミによって不倫報道され、それが青野家の崩壊につながった。祖父の死後に日本に移住し、母方の祖母と暮らしながら、いつか兄弟と出会えることを願っていた。高校で青野と初めて会った時、自分の素性を明かそうと思っていたが、なかなか告白できずにいた。しかし、青野の母が入院したことをきっかけに、ついに自分の真実を打ち明け、心の底から互いを認め合うようになった。