ウェイン・サレマ・アルバレスト

本作の主人公は、16歳のナトラ王太子です。彼は政治、戦略、戦術、そして個人的な武勇において天才的な才能を持つ青年です。しかし、彼の本質は怠け者であり、聡明さゆえに悲観的な性格を持っています。ナトラが弱小国であることを誰よりも理解しており、臣下や国民からは聡明な王子として期待されていますが、彼自身は国を売って静かな隠居生活を送りたいと考えています。

しかし、彼の行動は予想外の成功を収め、名君として国内外から高く評価され、恐れられるようになっていきます。普段は穏やかな性格を装っていますが、フラム人、特にニニムが差別や侮辱を受けた場合には激しい怒りを見せます。例えば、第3巻ではカバリヌ王を斬殺するなど、普段の穏健な対応とは異なる激しい行動に出ることもあります。

彼はかつて、アースワルド帝国にいるフラム人の高官を頼りに、王太子としての身分を隠して帝国の士官学校に約2年間留学していました。その際、全科目で首席を取るほどの優秀さを示しましたが、後に帝国も彼の正体に気づき、その記録は全て抹消されました。留学時の経験から、帝国に対して嫌悪感は持っておらず、帝国にはロウェルミナをはじめとする士官学校時代からの友人も多くいます。