フィリップ・ディドン・リイル・モチャラス

下級貴族の三男であり、男爵の地位にある彼は、次兄が病死し、長兄も家督を継ぐ前に戦死したため、当主の座を手に入れました。彼は自分を有能だと信じ、親や兄たちを無能と嘲笑していますが、実際には領地に関する教育を受けていなかったため、勢力拡大の計画すらまともに立てられない無能です。アルベドや舞踏会で助力を受けたヒルマからも、貴族としての知識や礼儀が欠如していると内心で侮蔑されています。

彼は後継者争いから最初から外されていたため、下剋上の思いが非常に強いです。実際にはナザリックと八本指のラインから愚かさを見込まれて選ばれ、操られているにすぎませんが、自分の身の程を知らず、アルベドを妻にすることを望んでいます。

後に、魔導国が王国へ侵攻するきっかけとなった事件の張本人となります。彼は聖王国への物資輸送団を襲撃し、食料を強奪しました。魔導国の食料を奪えば、備蓄の少ない王国の食料価格が上がり、自領の農産物をより高く販売できると考えたのです。この行動はアルベドやデミウルゴスを当惑させ、魔導国の方針を間接的な方法から直接的な侵略に転換させる結果となり、最終的に王国は滅亡しました。

王都陥落後、彼は自分の愚行を一切認めず邸宅に引きこもっていましたが、アルベドに引きずり出され、領民を皆殺しにされた上に父親たちの首を目の前に届けられました。最期はアルベドによって報復され、第五階層の氷結牢獄で生きているのか死んでいるのかわからない状態にされるという自業自得な末路を辿りました。