陣内 侘助（じんのうち わびすけ）

41歳の陣内徳衛は、隠し子として幼少期に陣内家に引き取られ、栄の養子となりました。彼は夏希や佳主馬の祖父たちとは年が離れていますが、栄の孫たちと同世代です。彼は一族の資産を持ち逃げし、10年間行方不明でしたが、栄の誕生日に親族が集まる中、突然帰ってきました。彼は風来坊でありながら、天才的な頭脳を持ち、東大を卒業し、留学経験もあります。アメリカではカーネギーメロン大学の教授としてセキュアプログラミングや人工知能の研究を行い、自動クラックAIプログラム「ラブマシーン」を開発しました。このプログラムをアメリカ国防総省に売却したことが、物語の騒動の発端となります。

彼の口調や態度、過去の行動から一族には嫌われていますが、育ての親である栄を内心では慕っており、同様に慕ってくる夏希には優しく接します。克彦たち三人から責任を問われた際には、「俺は製作者にすぎない」と言い放ち、栄にアメリカ国防総省からのオファーを見せ、「これで恩返しができる」と言ったことで栄を怒らせてしまいます。栄から薙刀を突きつけられた際には、「帰ってくるんじゃなかった」と言い、翔太の車を奪って家を出て行きます。

その後、あてもなくさまよっていたところ、夏希から栄の死を知らされ、急いで戻り、健二や陣内家と共にラブマシーンを止めるために奔走します。夏希の初恋相手であり、健二を家族に紹介したときの偽の経歴は彼のものでした。陣内家の中で唯一、当時発売されたばかりのiPhoneを使用しており、佐久間もiPhoneらしきスマートフォンを使用しています。

最終的に彼はアメリカ当局に出頭し、一連の事件の原因を告発しました。CNNのキャスターは、「彼は開発者にすぎないが、実験を一般の場で行った国防総省は責任を免れ得ないだろう」と報じています。このキャラクターは、細田の「伊丹十三を完璧にキャラクター化してほしい」という意向に沿って、貞本が若い頃の伊丹をモデルに描き上げたものです。