幸田柾近（こうだ まさちか）

幸田は零の養父であり、八段の実力を持つ将棋の師匠です。彼は目白に住んでおり、零の実父とは友人であり、かつては奨励会で競い合った仲間でした。家族を失った零を内弟子として引き取り、自分の子供たち、香子と歩も同様に弟子として育てました。しかし、零が故意に手を抜いて負ける姿を見て、香子と歩には将棋の世界で生きる資質がないと感じ、二人を奨励会から退会させました。その結果、香子は派遣社員として働き始め、不倫関係に陥り、歩はゲームの世界に引きこもりました。

零は中学卒業後にプロ棋士として独立し、アパートで一人暮らしを始めます。一方、幸田は自分の行動が「幸田家」の崩壊を招いたと自責の念に駆られています。彼は自分の子供たちを愛してはいるものの、将棋を中心に物事を考えるあまり、親としての配慮に欠ける行動が目立ちます。特に、香子と歩の意思を無視して奨励会を辞めさせたことは、彼らの将来に大きな影響を与えました。

幸田は零が私立板橋高校に通いながら孤立していることを心配し、彼と頻繁に連絡を取り続けています。また、零が成人するまで彼に送られていた対局料を管理しています。映画版では、幸田と宗谷の対局が回想シーンでテレビ放映される設定になっています。