桐山零（きりやま れい）

この物語の主役は、歴史上5人目の中学生プロ棋士として知られ、物語が始まる頃は17歳であり、順位戦C級1組、五段の地位にある。その後の展開でB級2組に昇進し、六段に到達。本作のアニメ第1期では身長170センチメートルで描かれる。

彼の少年時代は、交通事故で家族を失った悲劇に始まる。この出来事により、父親の親友でありプロ棋士の幸田柾近によって養育されることになる。しかし、内弟子としての生活は幸田家の家族との間に摩擦があり、居心地が悪かった。そのため、将棋に心を寄せ、15歳でプロになる道を選ぶことにした。中学卒業後は、六月町という架空の東京都内の町で一人暮らしを始める。

生活に無頓着であった少年だが、川本家や将棋科学部のメンバーとの触れ合いを通じて心の変化が芽生える。将棋界においても、憧れの棋士である島田への尊敬の念に駆り立てられるなどして、徐々に自分を取り巻く世界を開いていく。特に川本ひなたに特別な感情を抱き、彼女のトラブルに積極的に関わり、京都の修学旅行にまで訪れるなどの行動を見せる。将科部廃部後は、その代わりに設立された将棋クラブの部長を務めている。

一方で、私立駒橋高校へは1年遅れで入学し、同年代の生徒たちとの間に一定の距離を感じていた。学業では体育と音楽を除けば、物理と数学に秀でており、ひなたの数学の成績を格段に伸ばすなど教育的才能も垣間見えた。しかし、将棋の大会出場のために頻繁に学校を欠席するため、出席には常にリスクが伴う。

彼の棋風は、居飛車にも振り飛車にも通じるオールラウンダーで、自身が不利と感じる局面を「気持ち悪い」と表現する独特な感性を持つ。他の棋士たちからも個性的な評価を受けており、得意な形を持たない反面、相手の戦術に上手く対応する柔軟性を持つと評価されている。他の棋士が見落としてしまった勝負手に気付く洞察力もあり、藤本との対局では彼の戦術、通称「藤本イリュージョン」を撃破するなどの成果を上げている。