有馬 公生（ありま こうせい）

本作の主人公で、市立墨谷中学校の3年生（14歳）。3月28日生まれで、身長は165センチメートル。たまごサンドとモーモー印の牛乳が大好きです。

幼い頃から、母の夢である「公生を世界的なピアニストに育てる」ため、厳しい指導のもとで練習し、数々のコンクールで勝利をおさめてきました。しかし、その正確無比な演奏から、「ヒューマンメトロノーム」「母親の操り人形」「機械仕かけ」「コンクールだけのピアニスト」「譜面の僕（しもべ）」「コンクール仕様」などと揶揄されることもありました。

11歳の時には、母が元気になってほしい一心で感情を込めて演奏しましたが、その演奏に対して体罰と叱責を受け、感情を抑えきれずに母に「お前なんか、死んじゃえばいいんだ」と言ってしまいます。その言葉が母との最後の会話となり、以後、母との思い出がトラウマとなり、演奏中にピアノの音が聞こえなくなる症状に苦しむことになります。それ以来、ピアノを避ける生活を送りますが、その影響は同年代の演奏家たちにも大きく、クラシック界では非常に有名な存在です。井川絵見は彼に憧れてピアノを始め、相座武士にとっても目標とする人物です。

4月のある日、幼なじみの澤部椿を通じてヴァイオリニストの宮園かをりと知り合います。初対面では盗撮魔と誤解され、第一印象は最悪でしたが、コンクールでのかをりの独創的な演奏に心を奪われます。その後、自由奔放なかをりに振り回されつつも、次第に彼女に惹かれていきます。

ガラコンサートの前にかをりが倒れて入院したことで、何もできない自分に対して悔しさを感じ、かをりに「くる学祭」での自身の演奏を聴かせ、もう一度一緒に弾きたいという意思を伝えました。しかし、東日本コンクールの前にかをりが再び倒れたことで、大切な人を失う恐怖心からピアノを弾くことを恐れ、瀬戸紘子との練習も拒むようになります。

そんな最悪の精神状態で臨んだ東日本コンクールでは、「自分に音楽をくれた人たちのために弾く」ことで満場の喝采を浴びました。コンクールが終わると、かをりの両親から渡された手紙で彼女の想いを知ります。

高校進学先は県外の奥津音大附属高校を希望しています。