羽鳥 智世（はとり ちせ）

本作の主人公は赤毛の少女で、名前は「チセ」という。15歳で物語が始まり、16歳になる。彼女は非常に高い潜在能力を持つ魔法使いだが、幼いころに非人間的なものを感知する特殊な能力のために家族に拒絶され、孤独と虐待の日々を送っていた。ある日、全てを諦めかけていたところをセスという人物に出会い、彼との取引によって人身売買の市場でエリアスに落札されることとなる。彼女は「夜の愛し仔（スレイ・ベガ）」と呼ばれる珍しい魔法的存在で、その力を制御しなければ寿命が非常に短いとされている。この運命を変えるため、エリアスの下で魔法の修行を始める。

エリアスとの共同生活を通じて、チセは徐々に他の理解者と交流を深め、その生活態度にも変化が見られるようになる。しかし、彼女は依然として自分の命を軽んじる傾向にあり、解決困難な状況で自己犠牲を選ぶことが少なくない。チセは自身の特性により、魔性や妖精、神霊などの隣人たちを容易く引きつけ、時にそれが問題を引き起こすこともある。また、彼女は眠りの適正が高く、強力な睡眠薬を作る才能を持つことも判明する。

物語が進むにつれて、チセは英国の学院に入学し、かつての自己犠牲の悪癖が周囲への迷惑や心配を引き起こしていることに気付き、その行動を少しずつ改善していく。学院で出会ったフィロメラという少女に自分を重ね、彼女を助けることに尽力する。強く彼女を救いたいと願った結果、赤い竜として変化し、地脈を辿る冒険に突入する。これは英国での大事件となり、物語の新たな章への序章となる。