神戸 あさひ（こうべ あさひ）

誕生日は6月30日、血液型はAB型、身長は161センチメートルの16歳の少年。彼はフードを被り、傷だらけの姿で町にしおの捜索チラシを貼っている。実はしおの実兄であり、彼女とは本当の家族である。

彼はDVを行う実父と実母・ゆうなの息子として生まれ、幼少期から母親を気遣う優しい子供だった。しかし、祖父母の死後、実父が家庭内暴力を振るうようになり、彼は実母としおを守るために家に残り続けた。実父の虐待に耐えながらも、3人での幸せな生活を夢見ていたが、5年後に実父が死亡。実母がしおを外に置き去りにしたため、彼は母と妹を迎えに行くことができなくなった。それ以来、彼は行方不明になったしおを探し続けている。しおが気付いていない実母の本当の想いを知っているようだ。

基本的には家族を大切にする優しい性格だが、時折実父のような冷酷で暴力的な一面を見せる。実父からの虐待や警察に相手にされなかった経験から、大人に対して強い憎悪を抱き、一切信用していない。他人との馴れ合いを好まず、しょうこに怒鳴られた際には怯えて逃げ出そうとするなど、精神的に弱い一面もある。しおのことを「月」と称し、家族の希望だと語っているが、「家族三人揃っての幸福以外は考えられない」ともしょうこに話している。

しょうことは行き倒れたところを助けてもらったことから恩を感じ、彼女に対しては心を開くようになった。さとうの件で絶望していた彼女を叱咤し、連絡先も交換するようになる。一方で、太陽に対しては「穢れた大人の匂いがする」と不信感を抱いている。しおがさとうと一緒にいることを知ってからは、金属バットを持ち歩き、さとうの家の住所を得るために太陽を脅迫するなど、しおを取り戻すために手段を選ばない行動を取るようになる。しかし、実父からの虐待のトラウマは消えず、太陽に暴力を振るった後に嘔吐するなど、精神的に脆い一面が見え隠れしている。

一連の事件後、しおと再会し、実母の本当の想いを打ち明けて一緒に帰るよう説得するが拒絶され、しおは自殺を図る。その後、しおが生還した際に再び説得を試みるが一蹴され、その際にしおにさとうの姿が重なって見えたことに戦慄する。