エリアス・ブラント・デイル・レエブン

六大貴族の中でも最も大きな影響力を持つ。彼は金髪をオールバックにした背の高いやせ型の人物で、40代直前の年齢だ。切れ長の碧眼と日焼けしない白い肌が特徴で、周囲から蛇のような印象を与えられることがある。

政治的な動きでは、王派閥と大貴族派閥の間を巧みに渡り歩くため、ガゼフからは「蝙蝠」と揶揄され嫌われていた。しかし、実際には王派閥の影のリーダーであり、国の微妙なバランスを保つために尽力してきた忠臣だ。元々は王位簒奪の野望を持っていた奸臣だったが、今では心から王国の未来を憂うようになった。そのため、派閥を超えた情報網を築くことに成功している。

その一方で、彼自身が際立って優秀であり、優れた人材が彼を慕って集まるため、他の派閥には無能な貴族が集まってしまい、それが頭痛の種になっている。ラナー王女に対しては、彼女が幼い頃に見せた本性を見透かし、悪魔騒動前に実際に彼女の本性を問いただして歓喜に近い感銘を受けた。

5歳の息子、「リーたん」と呼ぶ子供を溺愛しており、妻の出産をきっかけにかつての野心を捨て、夫婦仲も非常に良好になった。後にガゼフとは王女の立会いのもとで互いの真意を察する機会が与えられ、共に王を助ける者として志を同じくするようになる。現在の生きがいは、子供が平和な時代に領地を運営できるよう尽力することであり、もう一人子供を望んでいる。

大虐殺の際は数少ない生還者の一人となり、その後、自領へ戻った際には心が折れた様子だった。そのため、ザナックはもう彼が王都に戻ってくることはないと見越している。アインズは彼の能力と人柄を高く評価しており、ガゼフとも親しい間柄だったため、彼を死なせるのは惜しいと思っていた。魔導国との戦争時、魔導国が王国に侵攻する中で子供を人質に取られ、仕方なく王国を裏切ってしまった。