ツエルブ / 久見 冬二（ひさみ とうじ）

本作のもう一人の主人公は、ナインと同じ高校に転入してきた17歳の少年です。彼は明るく純粋な性格で、ナインを兄のように慕い、常に行動を共にしています。記憶力が非常に優れており、他のクラスの生徒の顔とフルネームを覚えることができるほどです。また、オートバイやスノーモービルの操縦も得意です。彼は声や音を色として感じる共感覚を持っています。

彼はナインと同じ施設にいましたが、8年前に共に脱出しました。ハイヴに拉致されたリサを救うために単独で行動し、リサの命を守るためにナインを裏切ってしまいます。青森で奪取した小型原子爆弾の場所をハイヴに話してしまったのです。その後、リサと共に解放され、ナインが記者会見を開くことを知り、彼を助けに向かいます。しかし、手榴弾を投げた影響でバイクから転倒し、怪我を負ってしまいます。東京でリサと再会した際には倒れ込んでしまいましたが、容体が回復した後、リサに感謝の言葉を述べます。彼女は、誰からも必要とされずに生きてきた自分たちに寄り添ってくれたのです。

小型原子爆弾の爆発後、彼はリサと共にかつて自分たちが収容されていた施設を訪れ、そこでナインと再会し、和解します。彼の真の目的はナインと同じであり、柴崎には「もう一つ、その事を突き止めて捕まえに来る人間が必要だった」と伝えています。しかし、その直後、スピンクス事件に介入した事実が公表されることを恐れたアメリカ政府の命により、口封じのために米軍に射殺されてしまいます。

彼の名前は「冬（とう）」の字を「十（とお）」に置き換えると「十二（12＝Twelve）」となります。