条野採菊（じょうの さいぎく）

超五感の持ち主で「猟犬」の一員、無明の王。彼は尋問の達人で、標的の秘密を「聴く」ことに優れている。盲目であるが、そのほかの感覚は人間離れして鋭く、他人の心拍を聞き取り、心理状態を察知できる。右耳には耳飾りを付けており、丁寧な口調と穏やかな物腰が特徴だが、他人をいたぶることを楽しむ一面もある。

かつては犯罪組織の幹部であった彼は、6年前に福地の勧誘により「猟犬」に加入した。14巻では競馬場で太宰を捕えている。個性豊かな隊員たちの中では、しばしばツッコミ役を担っており、特にマイペースな鐵腸に対しては「一番嫌い、今すぐ死んでほしい」とまで言う。しかし、「うずまき」でマスターに対して情報収集を試みた際、鐵腸に足を刺され、結果的に先を譲ることになった。

捕らえられた国木田を「猟犬」への加入を勧めるべく揺さぶりをかけたこともある。また、立原が再捜査を申し出た際、彼の「嘘」の心音により福地の陰謀を察知し、《大指令》が到着する空港で文が探偵社の知人であることを見抜く。文にメモを渡し、尾行を依頼した。後に、福地から「逸れ犬」と称され、天人五衰への加入を勧誘されるも、民を救う喜びを理由に拒否。逃走を図るも、芥川の空間断絶や福地の炎の刀に阻まれ失敗。芥川に噛まれつつも、一部始終を見ていた文を嘲笑した。

彼の異能「千金の涙（せんきんのなみだ）」は、己を微粒子の群れに変化させ、操作する能力である。粒子化した状態では通常の攻撃はほぼ無意味で、狭い隙間や空調導管を通じて移動が可能。しかし、炎などで一定以上の粒子が破壊されると人間に戻れなくなるという弱点を持つ。